One year left -家族ごっこ-
バイトと嘘をついて、毎週水曜日だけ、二十時からのダンススクールに通っている。


もしおじさんの言う通りにバイトを辞めてしまったら、水曜日だけ帰宅が遅くなる理由が立たなくなる。


「お母さんに言えばいいじゃん。ダンスやってること」


「そうなんだけど、……今更だよね」


高校一年生の頃から、ずっと隠してきた。


今になって、「実は嘘をついていました」なんて打ち明けたら、お母さんを間違いなく傷つけてしまう。


「うちは、そもそも何で萩花がお母さんに言えないのかが、分かんないよ?」


頬杖をついて、怪訝そうに私をのぞきこむ。


「……バイトしないで遊んでるって思われるのが、嫌というか」


「それ何回も聞いた。でもさ、バイト頑張ってんだし、週一くらい萩花の好きなことしたっていいじゃん?」


普通ならそうなのかもしれない。


けれど、そういう単純なことじゃないんだ。


上手く言葉にできない想いが喉でつかえて、ただ、情けなく言葉を詰まらせるしかなかった。
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