One year left -家族ごっこ-
けれど、私の身体は、後ろから伸びてきた彼の大きな腕によって、不意に引き戻されてしまう。


逃がさないようにして腰へと回された手のひらから、強い力が伝わり、私は抗うこともできずに再び柔らかなシーツの上へと横にさせられてしまった。


視界のすべてを塞ぐようにして距離を詰めてきた、碧くんのぬくもり。


「び、っくりした……起きてたの?」


「……今起きた。どこ行くの?」


「下だよ」


「……もう少し、ここにいてよ」


まだ眠気の残る彼の低い声が、私の耳元を優しく揺らす。


私は身をよじって彼のほうへと向き直ると、その綺麗な髪に触れて、愛おしむように手のひらを滑らせた。


頬にかかる毛先を指先で払ってあげると、彼は心地よさに身を委ねるようにして、瞳を静かに閉じる。


触れ合う肌から伝わるあたたかな吐息が私の首元を優しくかすめ、碧くんはそのまま、甘えるように私の首すじへと顔を埋めてきた。


「……もう一回、だめ?」
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