One year left -家族ごっこ-
その気だるげにねだるような響きに、胸の奥が締めつけられながらも、私は小さく首を横に振った。


「だめだよ。これから愛ちゃんのエサと水草を買いに行かなきゃいけないでしょ」


彼の顔を両手でそっと包み込んで、自分のほうへと優しく向けさせる。


まだ完全には開いていない琥珀色の瞳を見つめ、彼の額(ひたい)へとそっと唇を寄せた。


驚いたように彼の腕の力が僅(わず)かに緩んだ隙を見計らい、私はするりと彼の手をかわしてベッドの上から滑り降りる。


振り返ると、ベッドの上に取り残された碧くんが、不満そうに眉をひそめていた。


その無防備な拗ね方に可笑しさを覚えながら、私は人差し指を口元にあてがって微笑む。


「ほら、早く起きないと置いていっちゃうよ?」
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