One year left -家族ごっこ-
これでもう、お母さんから逃げ出すために用意していた東京への切符は手放した。
その決断の潔さが、私の背筋をどこまでも真っ直ぐに支えている。
碧くんと同じ土地に残るのだという確かな証明が、私を優しく包み込んでいた。
教室へ戻ると、夕紗がすぐに声をかけてくれた。
「早かったね。先生、何て言ってた?」
「ううん。席を外してたから、机の上に用紙だけ置いてきた」
「東京から地元の企業にいきなり変えたら、先生もびっくりだね」
希歩の言葉に、自分の出した答えの大きさを改めて実感する。
「……大丈夫、かな」
小さく零れた不安を遮るように、夕紗が頼もしい表情を浮かべてみせた。
「大丈夫だよ。ほら、うちの彼氏だって最後の最後で希望の会社を書き直してたじゃん」
「そういえば、そんなこともあったね。あの時は斗真さんより夕紗のほうが大慌てしてたよねぇ」
凛が当時を思い出したように口元を緩める。
「あはは!懐かしい」
夕紗が声を上げて笑うと、そのカラッとした響きにつられるように、私と希歩もこらえきれずに吹き出していた。
進路を急に変えたことへの不安は、彼女たちの無邪気な笑顔のなかに、綺麗に消え去っていった。
「でも本当に、地元の会社はうちらが思っているよりもずっと、地元の生徒を寛大に迎え入れてくれるから!」
夕紗の真っ直ぐな言葉が、私の背中を押し上げる。
選択を見守り、肯定してくれる仲間たちがいることが、私を強く勇気づけてくれた。
その決断の潔さが、私の背筋をどこまでも真っ直ぐに支えている。
碧くんと同じ土地に残るのだという確かな証明が、私を優しく包み込んでいた。
教室へ戻ると、夕紗がすぐに声をかけてくれた。
「早かったね。先生、何て言ってた?」
「ううん。席を外してたから、机の上に用紙だけ置いてきた」
「東京から地元の企業にいきなり変えたら、先生もびっくりだね」
希歩の言葉に、自分の出した答えの大きさを改めて実感する。
「……大丈夫、かな」
小さく零れた不安を遮るように、夕紗が頼もしい表情を浮かべてみせた。
「大丈夫だよ。ほら、うちの彼氏だって最後の最後で希望の会社を書き直してたじゃん」
「そういえば、そんなこともあったね。あの時は斗真さんより夕紗のほうが大慌てしてたよねぇ」
凛が当時を思い出したように口元を緩める。
「あはは!懐かしい」
夕紗が声を上げて笑うと、そのカラッとした響きにつられるように、私と希歩もこらえきれずに吹き出していた。
進路を急に変えたことへの不安は、彼女たちの無邪気な笑顔のなかに、綺麗に消え去っていった。
「でも本当に、地元の会社はうちらが思っているよりもずっと、地元の生徒を寛大に迎え入れてくれるから!」
夕紗の真っ直ぐな言葉が、私の背中を押し上げる。
選択を見守り、肯定してくれる仲間たちがいることが、私を強く勇気づけてくれた。