One year left -家族ごっこ-
センター。


その響きが、思考を激しく貫いた。


このスクールの絶対的なセンターは、いつだって夕紗だった。


誰よりも華やかな強さでみんなを引っ張ってきた彼女が、ずっとあの真ん中の光を当然のように背負い続けていたのだ。


これまでの私なら、ポジションなんてどうでもよかった。


踊れるのなら、ステージのどこだって構わなかった。


けれど、今は違う。


“あんたのダンス、綺麗だった”


流れていく街のオレンジ色の景色の中で、嘘偽りのない碧くんの低い声が、耳の奥で鮮烈に蘇る。


見せたい、と心臓の音が激しく脈打った。


あの凍えるような暗闇から救い出してくれた碧くんの瞳に、一番真ん中で踊る私の姿を焼き付けたい。


碧くんのために、あの光の真ん中に立ちたいのだ。


今回のオーディションに挑むということは、大好きな夕紗に、正面から勝負を挑むということ。


私は夕紗から、センターを奪い取りにいく。


隣にいる彼女の綺麗な横顔を見つめながら、私のなかに烈(はげ)しい炎が宿り、熱い血液が体内を一気に巡っていくのを感じていた。
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