One year left -家族ごっこ-
教室の机を元に戻した私たちは、ファミレスへと向かった。


ボックス席を四人で囲み、夕食を食べたあと、ノートを広げて課題を終わらせていく。


ドリンクバーのグラスを傾けながら必死にペンを動かし、残っていた問題をすべて解いて、そのままダンススクールへと足を向けた。


夜の街を自転車で駆け抜け、スタジオの重い扉を開けると、制汗剤の匂いとともに独特の緊張感が漂っている。


フロアに集まった私たちを前に、先生がいつもより真剣な視線を向けて、一枚のプリントを掲げた。


「みんな、夏休みが明けたから、いよいよ本番に向けて動くよ。十二月末に開催される、年に一度の大きな冬のイベントのスケジュールが正式に決まりました」


先生の声が、鏡張りのスタジオに響き渡る。


いよいよ、このスクールで最も大きなステージの幕が上がるのだ。


配られたプリントの文字を床に座り込んでじっと見つめる生徒たちの背中で、私は静かに先生の言葉を耳で捉えていた。


「今回の主役、つまり構成のセンターは、来週からの振り入れ期間のなかでオーディションを行って決めます。我こそはという人は、しっかり準備して挑むように」
< 362 / 407 >

この作品をシェア

pagetop