One year left -家族ごっこ-
お母さんは、さっき一度だけ碧くんに電話をかけてみたけれど出なかったらしい。


「私も、ちょっと電話してみるよ」


そう言ったものの、スマホを手にした指先がわずかに強張る。


碧くんが、私の着信に出てくれる確証なんてどこにもない。


もし無視されたら、お母さんをさらに不安にさせるだけだ。


それならいっそ、碧くんと繋がったことにして、嘘でもいいからお母さんを安心させてあげたかった。


「ちょっとコンビニに行きたいから、外を歩きながら電話してみるね」


お母さんに嘘を見破られないよう、もっともらしい理由をつけて玄関を出た。


一歩外へ出ると、夜の冷たい風が吹き抜けて、私の長い髪を激しくなぶった。
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