One year left -家族ごっこ-
出ないだろうけれど、一応電話だけはしてみよう。


身を縮めて、スマホを冷たくなった耳に押し当てた。


静かな夜の闇に、ライン通話の呼び出し音が規則正しく鳴り響く。


お母さんには、友達の家に泊まることになったと言おうか。


それとも、彼女の家と言ったほうが説得力があるだろうか。


『――――なに?』


頭の中で言い訳を考えていた途中で、突然、耳元の音が切り替わって碧くんの声がした。


「碧くん?」


『そうだけど』


「……なんで電話に出たの?」


『あんたが電話したんだろ』


スマホの向こうから気だるげな声が聞こえる。


まさか本当につながるとは思わなかった。
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