One year left -家族ごっこ-
碧くんの胸を感情のまま強く突き押す。


突然のことに一瞬驚いた彼は、バランスを崩して後ろのベンチへと仰向けに倒れ込んだ。


逃げ出す隙を与えない勢いのまま、馬乗りになるようにして、彼の硬質な太腿の上へとまたがる。


「……私が童顔だからって、キスもできないような子供に見える?」 


碧くんのひんやりとした滑らかな頬に、微かに震える指先を無理やり押し当てた。


冷たい肌の感触が、脳へと直接突き刺さる。


けれど、彼は顔色一つ変えなかった。


薄暗い闇の中で、琥珀色の瞳がじっと私を見つめている。


慣れているのだろうか、それとも、まだ余裕たっぷりにからかって遊んでいるつもりなのだろうか。


その底知れない静けさが、さらに私を苛立たせた。


「今、冗談を言ってごめんなさいって謝るなら、やめてあげる」


頭に血がのぼって、激しい胸の音が、全身の皮膚を突き破るほどに響き渡っている。


両手で彼の顔をがっしりと挟み込み、お互いの吐息が触れ合うほどの、逃げられない至近距離で睨みつけた。
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