One year left -家族ごっこ-
「どーぞ」 


彼は太腿の上にまたがる私を、どこまでも挑発的に見上げてくる。


見くびられているのが、たまらなく悔しかった。


その余裕をすべて剥ぎ取りたくて、さらに顔を近づけ、彼の高い鼻の先に自分の鼻先をこすり寄せた。


触れ合った皮膚から、彼の冷ややかな体温が伝わってくる。


睫毛がかすかに触れ合いそうなほどの、狂った距離のなかで。

 
「……キスしたら、私の勝ちだからね」 


挑発し返した私の言葉に、彼はもう返事をしなかった。


ただ顎をわずかに上へと向け、私が落ちてくるのを待っている。
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