One year left -家族ごっこ-
ふと、壁に掛けられた時計が目に入る。


長針は、九の数字の上に重なろうとしていた。


四時四十五分。


アルバイトが始まるまでの残り時間は、あと十五分しか残されていない。


「もう行かないと……」


「俺もだ」


私は急いで手元の教科書を閉じる。


蓮巳さんが隣で手を貸してくれたおかげで、プリントの空白はすべて綺麗に埋まっていた。


「教えてくれてありがとうございました」


「このくらい、いつでも教えるよ」


蓮巳さんはハーフアップに結んでいた髪をほどきながら、ふわりと笑みを浮かべる。


自転車置き場まで並んで歩き、校門の前で、じゃあ、と小さく手を振り合った。


この日を境に、私たちは放課後の教室で、一緒に課題をこなす時間を重ねるようになった。


――水曜日を除いて。
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