この恋、予定外。
無意識に、営業フロアの奥を見る。

開発部のエリアはここからだとよく見えない。それでも視線だけがそちらに向いてしまう。
すぐに、戻す。


「茉央、お疲れ様ー」

ふわりとした軽い声に反応すると、瑞希さんがこちらを見て笑っていた。

「今日は午後からハードだね」

「三件です」

「しかも高橋くんと一緒でしょ?」

瑞希さんの中でも、開発イコール高橋さんになっている。その何気ない一言なのに、ほんの一瞬だけ言葉が詰まる。

「…そうみたいですね」

曖昧に言葉を濁すと、瑞希さんは面白そうに目を細めた。

「ふーん」

それ以上は何も言わない。ただ、その短い相槌の中に、少しだけ含みがある気がして。

「引っかかってたフックは、なんなのか分かった?」

「フック?」

聞き返して、そういえばと思い出す。

元気がない、なにか違う、引っかかってる。
全部を見透かされたような気がした少し前のやり取り。

「…それはたぶん、まだです」

先に答えると、瑞希さんは軽く肩をすくめて、にこりと笑った。
そして自分の席に戻っていく。


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