この恋、予定外。
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昼休みが終わる少し前。
私は誰もいない化粧室の鏡の前に立っていた。
白い照明の下で、自分の顔をじっと見る。
─────あれ?
思ったよりも、崩れてない。
頬に軽く触れる。
粉浮きしていない。
小鼻も、いつもの夕方みたいなテカり方はしていない。
「…ほんとだ。すごい」
思わず小さくつぶやいてしまった。
普段ならもうお昼近くには崩れ始めたりするはずなのに。
色々な角度から鏡で自分の顔を確認していると、不意に背後から低い声。
「森川」
びくっと肩が跳ねる。
振り向いた瞬間、私は固まった。
化粧室の入口の壁に背を預けて立っていたのは─────
高橋さんだった。
「ッギャァァァ!!!!!」
害虫を見つけた時みたいな声が出てしまった。
とっさに慌てて口を手で押さえる。
…ちょっと待って。
そんなホラー展開、いらないんだってば。
前にも言ったじゃん。
ていうかここ女子トイレ。
なんで入ってきてるの、この人?
しかも、私の悲鳴を聞いてもなにも反応しない。
「…は?」
この異常事態に思わず眉を寄せる。
「ちょっと待ってください、高橋さん!」
高橋さんは腕を組んだまま、こちらを見ている。
「なにが?」
いや、“なにが?”じゃないのよ。
「ここ、女子トイレですよ!?」
「知ってる」
「知ってるならなんで入ってくるんですか!変態じゃん!」
「いや、確認」
「確認!?」