この恋、予定外。
営業のことを思い浮かべる。
数日前の売り場のこと。手応えも、先輩の言葉も、ちゃんと残っている。
間違っているわけじゃない。
なのに、それだけじゃ足りない気がする。
「うん。だから私も不思議なんだけど」
瑞希さんはエレベーターの壁にもたれて、私を横目で見た。
「うまくいってる時って、茉央はもうちょい分かりやすく満足してる顔するのよ」
「……」
言い返そうとして、言葉が出てこなかった。
エレベーターが一階に到着する。 扉が開く音がして、私たちはそのまま外に出た。
夜の空気が、昼間の暖かさの余韻を残しつつも少しだけひんやりしている。
「まあ、いいけどね」
瑞希さんは軽く言って、歩き出す。
「そういう時って、大体あとで分かるし」
「あとで、ですか?」
「うん。なんか引っかかってるんでしょ?」
歩幅を合わせながら、私は少しだけ考える。
“引っかかってる”。
その言葉が、妙にしっくりきてしまう。
「そう、なんですかね…」
自分でも分からないまま、そう返していた。
少しだけ声が弱くなる。
瑞希さんはそれ以上は何も言わなかった。 ただ、小さくポン、と肩に手を置いてくれた。
「まあ、じゃあその“引っかかり”がなくなったら、飲みに行こうよ」
「はい」
会話はそこで途切れた。
駅に向かう人の流れに混ざりながら、私は自分の足元を見た。
うまくいってる。 ちゃんとできてる。
…なのに。
─────引っかかってる、か。
胸の奥にあるそれに、まだ名前はつかないまま。
ただ、それは消える気配もなかった。
数日前の売り場のこと。手応えも、先輩の言葉も、ちゃんと残っている。
間違っているわけじゃない。
なのに、それだけじゃ足りない気がする。
「うん。だから私も不思議なんだけど」
瑞希さんはエレベーターの壁にもたれて、私を横目で見た。
「うまくいってる時って、茉央はもうちょい分かりやすく満足してる顔するのよ」
「……」
言い返そうとして、言葉が出てこなかった。
エレベーターが一階に到着する。 扉が開く音がして、私たちはそのまま外に出た。
夜の空気が、昼間の暖かさの余韻を残しつつも少しだけひんやりしている。
「まあ、いいけどね」
瑞希さんは軽く言って、歩き出す。
「そういう時って、大体あとで分かるし」
「あとで、ですか?」
「うん。なんか引っかかってるんでしょ?」
歩幅を合わせながら、私は少しだけ考える。
“引っかかってる”。
その言葉が、妙にしっくりきてしまう。
「そう、なんですかね…」
自分でも分からないまま、そう返していた。
少しだけ声が弱くなる。
瑞希さんはそれ以上は何も言わなかった。 ただ、小さくポン、と肩に手を置いてくれた。
「まあ、じゃあその“引っかかり”がなくなったら、飲みに行こうよ」
「はい」
会話はそこで途切れた。
駅に向かう人の流れに混ざりながら、私は自分の足元を見た。
うまくいってる。 ちゃんとできてる。
…なのに。
─────引っかかってる、か。
胸の奥にあるそれに、まだ名前はつかないまま。
ただ、それは消える気配もなかった。