君の手が動く限り、俺は隣にいたいから
 やがて、最上階の踊り場に辿り着いた。
 目の前には、屋上へと繋がる鉄製の重い扉がある。凌はゴクリと生唾を飲み込み、汗ばんだ手で冷たいドアノブを握り締めた。
 ギィ……と、錆びついた鈍い音を立てて扉が開く。
 隙間から滑り込んできたのは、ひんやりとした湿った空気だった。
 外は、やはりどんよりとした曇り空。太陽の光を完全に遮断された灰色の世界に、凌の気分も天候と同期するようにズルズルと下がり気味になっていく。
 はあ、と重い溜息が口から溢れた。
 それでも、凌は引き返さなかった。ゆっくりと扉を押し開け、一歩、コンクリートの床へと踏み出す。
 吹き抜ける冷たい風が、凌の髪を乱した。
 広々とした誰もいないはずの空間。けれど、凌の視線は迷うことなく、ある一点へと真っ直ぐに向けられた。
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