赫い滴と湿った吐息

第二話:雨の後の沈黙、縋り付く指先 3

窓を叩く雨の音が、二人の罪を隠す葬送曲となり、深夜の沈黙を、激しく、そして無残に切り裂いていった。

​「……汚れちゃった。あいつに触られたとこ、全部、気持ち悪い……っ」

浴室のタイルに膝をつき、少女が自身の腕を赤くなるまで擦るたび、湿った摩擦音が響く。

鼻腔を支配するのは、安物のシャンプーが吐き出す人工的な花の香りと、排水溝へ流れる泥の匂い。

視界に映る彼女の背中は、雨に打たれて青白く透き通り、今にも折れてしまいそうなほどに震えていた。

​「なら、私が洗ってやろう。その過去ごと、根こそぎな」

男の低い声が、狭い浴室の蒸気に反響し、彼女の鼓膜を重く、逃げ場のない振動で支配する。

耳朶を打つのは、蛇口から勢いよく溢れ出した熱湯が、床を叩く激しく、無慈悲な打撃音。

舌先に残る自身の支配欲の苦みが、男の喉を、獲物を蹂躙する前の冷徹な渇きで焼き上げた。

​「……あ、っ……熱い、おじさん、っ……んん……っ!」

シャワーの熱い奔流が、彼女の華奢な肩を打ち据えると、指先に伝わるのは、逃げ場を失った拍動。
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