毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える
呟いた声が、石壁に反響した。
でも、もうあの世界には戻れない。
この世界で、自分にできることは何だろう。
茶を淹れること。それだけは変わらない。
鈴音は自分の手を見つめた。
月明かりの中、手のひらを鼻に近づける。
かすかに、茶の香りが残っていた。
茶会で触れた茶葉の香り。龍井茶の清涼な香り。
でもその奥に、確かに別の香りがあった。
前世の知識が、次々と蘇る。
茶の専門家として学んだこと。香りの違い。毒草の特徴。
トリカブトの香りは独特だった。鋭く、刺すような香り。少量でも致死性がある。
「あれは……トリカブトの残り香だった」
確信が、胸の中で固まった。
茶葉ではない。茶器に塗られていたのだ。
茶碗の内側に、予め毒が仕込まれていた。
熱い茶を注げば、毒が溶け出す。
完璧な計画だった。茶を淹れた鈴音に、全ての罪を着せることができる。
鈴音は拳を握りしめた。
証明する方法はある。茶器を調べれば、毒の痕跡が残っているはずだ。
でも、明日の朝には処刑される。
時間がない。
夜が更けた頃、再び足音が聞こえた。
翠蘭だった。手には小さな包みを持っている。
「お妃様」
でも、もうあの世界には戻れない。
この世界で、自分にできることは何だろう。
茶を淹れること。それだけは変わらない。
鈴音は自分の手を見つめた。
月明かりの中、手のひらを鼻に近づける。
かすかに、茶の香りが残っていた。
茶会で触れた茶葉の香り。龍井茶の清涼な香り。
でもその奥に、確かに別の香りがあった。
前世の知識が、次々と蘇る。
茶の専門家として学んだこと。香りの違い。毒草の特徴。
トリカブトの香りは独特だった。鋭く、刺すような香り。少量でも致死性がある。
「あれは……トリカブトの残り香だった」
確信が、胸の中で固まった。
茶葉ではない。茶器に塗られていたのだ。
茶碗の内側に、予め毒が仕込まれていた。
熱い茶を注げば、毒が溶け出す。
完璧な計画だった。茶を淹れた鈴音に、全ての罪を着せることができる。
鈴音は拳を握りしめた。
証明する方法はある。茶器を調べれば、毒の痕跡が残っているはずだ。
でも、明日の朝には処刑される。
時間がない。
夜が更けた頃、再び足音が聞こえた。
翠蘭だった。手には小さな包みを持っている。
「お妃様」