クールな年下男子と、甘い恋を。
 あの後。
 葵先輩は漣里くんに「心配だから真白ちゃんを家まで送ってあげて」と頼んだ。
 私は断ろうとしたんだけど、漣里くんはさっさと外に出て行ってしまった。

 慌てて追いかけようとした私に、葵先輩は不思議なことを言った。

「ねえ真白ちゃん。試しに、漣里のこと褒めちぎってみて。きっと面白いものが見られると思うから」

 ……あれは、どういうことなんだろう。
 漣里くんを褒めたら、どうなるというんだろう。

 試してみたいけど、とてもそんな雰囲気じゃない。
 いまは会話にすら困っている有様だ。

 漣里くんだって、いきなり褒められても全然嬉しくないだろう。

 むしろ不気味に思われそうだ。
 ますます溝が開いちゃうよ。

「…………」
 いなくなってしまったのか、セミの声がしない。
 車の音と人の声を聞きながら、私は男の子と二人、こうして並んで歩いている。

 漣里くんが押している自転車のかごの中にあるのは私の鞄。
 送ってもらえるのはありがたい。
 でも、それよりも、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 私はまた彼のお世話になっている。
 どうすればいいんだろう、この状況。

 年下の美少年と仲良く会話を繰り広げるスキルなんて、私は持ってない。
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