てのひらは君のため〜クールな年下男子と始める、甘い恋〜

02:すごく可愛い!

「毎日、本当に暑いよね」
「夏だからな」
「でも、この一週間、ずっと猛暑日だよ? いくら夏でも、今年の暑さは尋常じゃないよ。こんなに暑いと参っちゃう」
「実際に参ってたな」
「そ、それは……。はい。大変ご迷惑おかけしました。以後気をつけます」
「謝ってほしいわけじゃない」
 会話が途絶えた。

 からからと自転車のタイヤが回る音だけが流れる。

「……え、えーっと、夏休みが始まって一週間経ったけど、私は家の手伝いばっかりしてて、友達と遊んだことすらないんだよね。漣里くんは、どこか行った? 夏らしく、海とかさ」
「どこにも行ってない。家で引きこもってる」
「あー、うん、暑いもんね」
 ……あ、話題が元に戻っちゃった。どうしよう。
 私が話を振らないと、漣里くん、黙ったままだし。

 ちらりと漣里くんを見る。
 彼は私と視線を合わせようとはせず、前を向いていた。

 表情がなければ大抵、人は怒っているように見えるけれど、彼の表情は静か。
 怒りも悲しみも見当たらない、全くの無だった。

 うう、気まずい。
 どうにか話題を……話題を……ああ、思いつかない。

 葵先輩、助けて。
 仲良くしてほしいと言われましたし、できればそうしたいのはやまやまなんですが、私にはこの溝を埋める手段が思いつきません……

 内心で頭を抱える。
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