クールな年下男子と、甘い恋を。
「…………」
 泣くな、と思っても、勝手に涙が溢れてくる。
 できることなら、私も漣里くんと一緒に見たかった。
 恋人にはなれなくても、友人としてでも良かったんだ。

 傍にいられたら、それだけで。

 花火の音が全身を包む。
 心臓に共鳴して、芯から震える。

 ああ、さぞ綺麗だったんだろう。
 彼と一緒にその光景を見られたら、どんなに。

 本当に、幸せだったんだろうね。

「ひっ……」
 顔を覆った瞬間、本格的に涙が溢れてきた。

 ごめんなさい、漣里くん。
 彼はどんな思いで私を待っていたんだろう。
 手を繋いで歩く恋人たちを、楽しそうに笑う家族連れや仲良しグループを、どんな思いで見ていたんだろう。

 たった一人で。
 きっと、一時間は待っててくれたよね。
 そんなに長い間、私を待っていてくれたのに。
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