クールな年下男子と、甘い恋を。
「……あーあ……」
 自業自得すぎて、もう笑うしかない。
 ぴくりとも頬の筋肉は動こうとしなかったけど。

 用のなくなったスマホを鞄に入れて、うずくまったまま、空を仰ぐ。
 立ち並ぶ住宅とマンションに切り取られた細い長方形の夜空には、何も見えない。

 音がするのに、何もない。
 ただいくつかの星が平和に瞬いているだけ。
 漣里くんは花火を見ているだろうか。

 私のせいで最悪な花火大会にしてしまった。
 こんなことなら、約束なんてするんじゃなかった。

 ワンピースも、サンダルも、つける暇のなかった髪飾りも。
 全部この日のために用意したのにな。

 本当に、楽しみにしてたのにな。

 どおん、とひときわ大きな音がした。

 夜空には大輪の花が咲いていることだろう。
 視界いっぱいに広がる、美しい花火が。
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