零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――
中庭の掲示板の前は、さっきまで静かだった新入生たちがさすがにざわついていた。
大きな紙が四枚。上からA班、B班、C班、そして――零班。

「零?」

思わず声が出た。

俺は自分の名前を探した。
Aにはない。Bにもない。Cにもない。
嫌な予感がしたところで、いちばん右の紙に見つけた。

有馬直。
零班。

「……は?」

二度見した。
もう一度見た。
やっぱり零班だった。

「残念、誤記じゃないよ」

振り向くと、知らない男子がにこっと笑っていた。俺と同じ新入生の制服なのに、立ち方だけ妙に余裕がある。細身で、目尻が少し上がっていて、いかにも何か企んでそうな顔だった。

「君も零?」

「君もってことは、お前もか」

「うん。運命だね」

「うれしくない言い方するな」

そいつは掲示板に指をさした。

「白鷺千景。覚えといて。君と同じ班。よろしく」

「有馬直。よろしく」

掲示板の下には『零班は南離れ二階へ』とだけ書かれていた。

A班からC班の新入生たちは、上級生に案内されて本校舎へ入っていった。
俺たちだけが、渡り廊下の先の古い建物へ向かうことになった。
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