零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――
試験が終わると、受験生たちは廊下に出された。壁際の長机に紙コップの水が並べてあって、みんな無言で飲んでいる。と思ったら、隣から急に声がした。

「なあ、椅子、何脚にした?」

振り向くと、猫っ毛の男子が水を片手にこっちを見ていた。初対面なのに距離が近い。

「三脚」

「俺、二脚」

横から、やけに涼しい声が割り込んだ。

「四脚だ。壁際に折りたたみが一つあった」

猫っ毛のやつがぎょっとした。

「うわ、全部見てるやつだ」

「見ていないなら落ちるだけだ」

「言い方きつっ」

俺もつられて言った。

「受験で椅子の数を覚えてるほうがどうかしてると思うけど」

猫っ毛のやつが大きくうなずいた。

「それな」

そこへ、別の試験官が来て無表情に告げた。

「受験番号三七番、面接室へ」

「うわ、もう来た」

「がんばれ、椅子三脚くん」

「その呼び方やめろ」
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