零班は落第寸前!――名門男子校は秘密のスパイ養成学校でした――
校長室を出ると、白鷺がすぐ両手を広げた。

「というわけで、零班、表彰なし!名前もほぼ残らず!減点だけ保留!」

火村が拳を握った。

「でも連携は褒められた!」

「そこ拾うの前向きだな」

俺が言うと、火村は胸を張った。

「大事だろ」

九条はため息まじりだった。

「褒め言葉に飢えすぎだ」

「お前が普段くれなさすぎるんだよ」

白鷺が言った。

大河内は紙袋からたこ焼きを一つ差し出してきた。

「……祝い」

「祝いが屋台の残り物なの、零班っぽいな」

俺はそれを受け取って、ちょっと笑った。

実際、その夜までに聞こえてきた噂は、

「真砂先輩、祭りの片付けで倒れたらしい」

だの、

「いや、生徒会の規律違反で呼ばれたんだって」

だの、

そんなぼんやりしたものばかりだった。

黒い封筒も、地下通路も、通信室も、誰の口にも上らなかった。

手柄も出ない。

たぶん、それでいいんだと思った。

あのベルの音も、落ちる鍵も、紙吹雪も、白鷺の飛びこみも、大河内の門も、火村の仕掛けも、九条の合図も、全部知ってるのは俺たちだ。

俺はそのとき、零班をちゃんと誇りに思っていた。
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