秘書ですがエリート社長に溺愛されています
私は小さく息を吐いた。

ダメだ。こんなことで喜んでいたら。

私は秘書で、あの人は社長。

立場が違いすぎる。

そんな恋が叶うはずなんて――分かっているのに。

社長室のドアを見つめながら、私は思ってしまう。

それでも。

それでも私は――あの人の隣にいられるこの時間が、何よりも幸せだった。

社長室のドアを閉めると、静かな空気が広がった。

外のオフィスとは違い、この部屋はいつも落ち着いている。

私は机の上に書類を並べながら、ふと手を止めた。

――こんな近くにいられるなんて、本当はそれだけで十分なはずなのに。

私は小さく息を吐く。

神崎玲司。

この会社の社長であり、私の上司。

そして――私が、ずっと好きな人。
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