王子の愛し子




鳥の綺麗な鳴き声で意識がハッキリしてきた。

家にいる時には感じたことのない暖かい日差し。


そして、ふかふかなベッド。



「ん〜……?あれ、ここどこだっけ…?」



目が覚めて我に返る。



「え、え…?」



豪華すぎる部屋。

天板付きのベッド。

金で縁取られた家具。


どれもこれもリリエールには手の届かないものだった。


(すごいけど…、なんで…?)


困惑していると部屋の扉がノックされた。

いや、ノックされたと思う。


そのノックすらも聞こえない気がするくらい部屋が広い。


「は、はーい…?」


勝手に返事してしまったことに気づいた時にはもう扉は空いていた。


入ってきたのは侍女さん。


「…!お目覚めだったんですね!お身体に違和感などはないですか?今お医者様を呼んでいますから横になっていてくださいね。」


そう言って一礼したあと、部屋を去っていった侍女さん。


「………………?」


ただ困惑するしかなく、数分経つとまた部屋がノックされ、侍女さんとお医者さんが入ってきた。


「失礼いたしますね。わたし、この城の医者のトップやっています、ローファーと申します。よろしくお願いしますね」


ホワホワした喋り方のおじいちゃんが入ってきた。


「あ、はい、よろしくお願いします…?」


するとずっと見ていた侍女さんが口を開いた。


「お嬢様、失礼極まりないのですがお名前を教えていただけませんか?」


(お嬢様…?だ、誰のことだろう…?と、とりあえず名乗ったほうがいいよね…)


「あ、あの、すみませんでした。わたし、リリエールと申します。えっと、フレフラン・リリエールです…!」

「リリエール様ですね!よろしくお願いします!私は侍女のラリアットです!」


侍女さん、ラリアットさんが満面の笑みで挨拶してくれた。


(ふ、フレンドリーな方でよかった…!)


「よ、よろしくお願いします…!あ、あの1つ質問してもいいですか…?」


恐る恐るラリアットさんの顔を見ると、目が輝いていた。


「もちろんです!何でもお聞きください!」


(す、すごい熱意…!)


「あ、あの、ここってどこですか…?なんで私ここにいるんでしょうか…?」



覚えているのは城の王子に生贄として捧げられて、城の門で追いかけられて…。

そこまで来て思い出せなくなった。


うんうんと1人で考えているとラリアットさんが口を開いた。


「えーとですね、まずここはルーウェルト・ランドレン様がお住みになっている住居です。で、リリエール様がこちらにいるのは〝花嫁〟としてこちらに来たからではないのですか?」


逆に尋ねられるような形になり、ビックリする。


(え、〝花嫁〟…?私、生贄として…!)

話が噛み合っていないようで慌てて弁解する。


「ラリアットさん…!私、生贄として来たんです!花嫁じゃないです…!」


ラリアットさんは何を言っているんだと言わんばかりに首を傾げ、不思議そうにしている。


どうしよう、話がかみ合わない…!





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