王子の愛し子
―――――そう思ったとき。



「ワンッ!」


白い犬……ではなく、オオカミが入ってきた。


大きい。 

いや、大きすぎる。



見たことのない大きさの動物を目の当たりにしたリリエールは何もできない。

ちらっとラリアットのほうを見てもオオカミに頭を下げているだけだ。



(オオカミに頭を下げる………?)


リリエールは困惑しながらも頭を下げた。



その時、オオカミはリリエールの頬にすり寄ってきた。


オオカミの頭はリリエールの頭3個分くらいはあるだろう。

身体なんて現代の大きな自動車ほどの大きさだ。



(お、大きすぎるよぉ……!)


そんなリリエールの想いとは知りもしないオオカミはリリエールのいるベッドに乗り込んできた。


「わ…!あ、頭ぶつけないように気を付けてね……!」


こんな時に動物相手を気遣うのもどうかと思ったが、気を付けてほしいのは本当だったので言っておいた。


(ど、どうしよう〜!)

もう本日何度目かの意味が分からないことになっていた。



何をすればいいのか分からない。

そんなとき、ずっと話題から外れていたローファーが助け舟を出してくれた。



「白獣様、失礼します。リリエール様のお身体の調子をお聞きしたいのですがよろしいですか?」


〝白獣様〟そう呼ばれた大きな白いオオカミはローファーの言葉を聞くと少し顔を上げた。


「ワン………」


大きな身体からは想像つかない弱々しい声が出た。


「……ふふっ」


気づいた時には笑ってしまっていて、恥ずかしい。

でも、少し部屋の空気が和んだ気がした。




――――その後はローファーの診療を受け、部屋でぐーたらしていてくださいと言われてしまった。

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