人形姫と秘密のお役目 -1-
【side 朔】 記憶と重なる少女
 コートの中央へ向かう、小さな背中をぼんやり目で追っていた、そのときだった。


「なぁ、月城」


 不意に名前を呼ばれ、そちらへ顔を向ける。

 クラスメイトがラケットを肩に担ぎながら、どこか楽しそうに笑っていた。


「あの転校生、めっちゃ美人じゃね?」


 唐突な言葉に、一瞬だけ言葉が詰まる。


「……急になんだよ」

「いや、だって気になんだろ。ああいうタイプ、この学年にいなかったじゃん」


 すると横から、別の男子が会話に入ってくる。


「それな。かわいいっていうより、きれい系って感じ」

「分かる。なんか大人っぽいよな」

「目閉じてんのに、なんであんな雰囲気あるんだろ」


 好き勝手に盛り上がる声を聞きながら、俺はなんとなく視線を逸らす。

 ……言いたいことは、少し分かる。

 整った顔立ちに、淡いクリーム色の髪。

 どこか静かで、近づきがたい空気をまとっているのに、不思議と目を引く。

 けれど俺が引っかかっているのは、そういうところじゃない。
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