夏恋セッション
(多分、今日のことは一生忘れないんだろうな……)

そう思った時、夜空に大輪の花が打ち上がった。色とりどりの花火に向日葵が声を上げる。

「綺麗だね!」

「……うん。すごく綺麗」

凪は向日葵を見つめながら言う。花火を見ることはできなかった。隣にいる向日葵しか、凪は見つめることができない。

(このまま時間が止まってしまったら……)

そう凪が思った時、花火を見ていた向日葵がこちらを向いた。その唇が動く。花火の音にかき消されて声は聞こえない。しかし、凪は向日葵が何を言っているのかわかった。

「嘘……」

凪の目が見開かれる。向日葵が微笑み、ゆっくりと近付いた。心臓がまた音を立てる。

花火の下、二人の距離がゼロになった。





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