あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
「しかも怖くないのに、仕事できるし……」

その会話を聞き流しながら、私は心の中で小さくうなずいていた。

たしかに、そうなのだ。

恒一は、誰かを雑に扱わない。

相手が部下でも、年上でも、取引先でも、態度が変わらない。

そのくせ、場面によって距離の取り方を変えるのがうまい。

必要以上に踏み込まず、けれど決して冷たくもない。

そして気づけば、彼は私のすぐ隣にいることが増えていた。

「部長、こちら先に私が確認しておきます」

「悪いわね」

「部長が動くほどでもありません」

「そういう言い方、私が無能みたいに聞こえるけど」

「まさか。優秀な人に全部やらせたら、下が育ちませんから」
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