あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
その言葉に、私はとうとう笑ってしまった。

泣きそうなくらい、幸せな笑いだった。

朝の光の中で、恒一はもう一度私の左手を取った。

指輪に口づけるみたいに触れてから、私を見つめる。

「改めて言います」

声は静かで、でも確かだった。

「結婚してください、美弥さん」

私は彼の顔を見つめたまま、ゆっくりとうなずいた。

胸の中で何かがほどけ、同時に新しいものが満ちていく。

それは、仕事で結果を出したときの達成感とは違う。

もっと柔らかくて、もっと深くて、でも確かに人生を変えていく熱だった。

「……はい」

たった一言なのに、言い終えた瞬間、世界が少し変わった気がした。

恒一が私を抱きしめる。
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