あなたの子どもが欲しい夜 4つの愛と本能の物語
私は彼の肩に額を預けた。

仕事で成功してきたことを、後悔したことはない。

でもきっと私は、ずっとどこかで、手を伸ばせなかったのだ。

仕事を理由にして、年齢を理由にして、どうせ無理だと先回りして。

欲しいものがあることすら、ないふりをしてきた。

けれど今、私の指には指輪がある。

それはただの飾りじゃない。

未来に手を伸ばしてもいいという、ひとつの許しみたいだった。

私はゆっくり顔を上げた。

「……後悔するなら、あなたのせいよ」

そう言うと、恒一は目を細める。

「望むところです」

「責任、取ってくれるの?」

「もちろん」

彼は迷いなく答えた。

「あなたの人生も、願いも、全部引き受けるつもりでいます」
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