桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

第3話 壊れたもの、残ったもの

俊兄が近づいてきて、ぽん、と私の頭に手を置いた。

「おかえり」

「うん……ただいま」

さらっと揺れる、まっすぐな黒髪。
センターで分けた前髪の奥から、切れ長の静かな目がのぞく。

きっちり着た制服も、昔から変わらない。

双子なのに、
手の置き方まで、敦兄とは全然違う。

その様子を、敦兄と颯太がじっと見ている。

「……」

「……」

ぽん。
敦兄が颯太の頭に手を置いた。

「おかえり」

「うん……ただいま」


「茶化すな!!」

俊兄がすぐツッコむ。


——相変わらずだな、この構図。


「じゃ、俺そろそろ着替えてこよっと」

颯太が俊兄からバッグをひったくる。

「おい!」

その動きが、昔と変わらなくて。
なんだか少し、安心する。

「ったくあいつは……」

俊兄がため息をつく。

「若いねぇ颯太は」

敦兄ののんきな声に、思わず苦笑しかける。

そのとき。


「……りあ」


俊兄に呼ばれて、振り向く。

ぺりっ。

背中から、何かが剥がされた。


「……何これ!?」


俊兄が持っている紙には、


『バカヤロウ』


とだけ書かれている。

「……あいつは本当に、何やってんだ」

俊兄が呆れた顔で紙をぐしゃっと丸め、
ゴミ箱へ放った。

「若いねぇ颯太は」

敦兄がまた同じことを言う。

「あっちゃんそればっかり!」

……さっき抱きつかれた時だ!
あの背中ぽんぽん、これか!


「もう! 颯太! ちょっと待って!」

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