桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜

勢いよく部屋を飛び出そうとした、その瞬間。

「りあ」

敦兄にぐい、と腕を掴まれた。

「まあまあ、落ち着けって。
とりあえず荷ほどきしよ。な?」

敦兄がスーツケースに目をやる。

私は少しだけむくれて、それから小さく息を吐いた。

「……分かった」

しぶしぶ頷いて、スーツケースの方へ向かう。

「手伝うよ」

俊兄が剣道部のバッグを壁に立てかけ、部屋を見回した。
その視線が、ふと壁の方へ流れる。

「そういえば」

「ん?」

「さっき下で隼人とすれ違った」

「!」

思わず顔を上げると、ほぼ同時に敦兄が眉を上げる。

「あいつ帰ってたの? ほとんど家いねーじゃん」

私はスーツケースのファスナーに手をかけたまま、動きを止める。

……また、あの後すぐ、出て行っちゃったんだ。

「……」

「どうした?」

首をかしげる俊兄に、慌てて首を振る。

「ううん! なんでもない!あ、それより俊兄ありがとね? あの……個性的なうさぎ」

ベッドの上のぬいぐるみに視線を向けると、
俊兄が少し目を細めた。

「ああ。よく俺だって分かったな」

どこか嬉しそうな声。
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