桐生家の四兄弟と私〜義兄弟に囲まれてます〜
第9話 やさしい気配
家のドアを開けた瞬間、人の気配がした。
「ただいまー」
声をかけると、すぐにキッチンからエプロン姿の女性が顔を出す。
「りあちゃん!」
「昌枝さん!」
靴を脱ぎ捨てて駆け寄ると、昌枝さんはそのまま私をぎゅっと抱き寄せた。
「おかえり、りあちゃん。本当に久しぶりだねぇ」
「ただいま、昌枝さん」
ふわっと漂う料理の匂い。
懐かしいその香りに、胸の奥がほっと緩む。
しばらくして昌枝さんが体を離し、目を細めて私を見つめた。
「しばらく見ないうちに、お姉さんになったね。きれいになった」
「そ、そうかな?」
ちょっと照れてしまう。
「うん。……あ、そうだ。ちょっとこっち来て」
呼ばれてリビングに行くと、小さな花束を差し出された。
ピンクを中心にした、可愛らしい花たち。
やわらかな色合いが、春の終わりの光によく似合っている。
「はい、これ」
「え?」
「来る時に通りかかった花屋さんで見つけてね。なんだか、りあちゃん思い出して」
思いがけない贈り物に、胸がじんわり温かくなる。
「ありがとう」
花束を大事に受け取ると、昌枝さんが嬉しそうに笑った。
「よかった、喜んでくれて」
「うん! ……あ、そうだ。昌枝さん、私のお土産食べてくれた?」
シンガポールから戻る時、桐生家のみんなと昌枝さんにチョコレートを買ってきていた。
リビングのテーブルに置いたままだったはずだ。
テーブルに駆け寄り、箱を開ける。
「……あー!」
中はきれいに空っぽだった。
……絶対、颯太だ。
後ろから昌枝さんがひょいと覗き込んで、豪快に笑う。
「いいのいいの。りあちゃんと会えただけで嬉しいんだから」
「でも……」
空箱を見つめながら、私はため息をつく。
マーライオンのチョコなんてベタすぎる、って文句言ってたくせに。
「それより、お昼ご飯もうすぐできるから待っててね。りあちゃんの好きなハンバーグにしたから」
その言葉に、顔が明るくなる。
「うん!」
昌枝さんがキッチンへ戻っていく。
私は花束を抱えたまま、その場でふと足を止めた。
……そうだ。
俊兄に鍵、返さなきゃ。
「ただいまー」
声をかけると、すぐにキッチンからエプロン姿の女性が顔を出す。
「りあちゃん!」
「昌枝さん!」
靴を脱ぎ捨てて駆け寄ると、昌枝さんはそのまま私をぎゅっと抱き寄せた。
「おかえり、りあちゃん。本当に久しぶりだねぇ」
「ただいま、昌枝さん」
ふわっと漂う料理の匂い。
懐かしいその香りに、胸の奥がほっと緩む。
しばらくして昌枝さんが体を離し、目を細めて私を見つめた。
「しばらく見ないうちに、お姉さんになったね。きれいになった」
「そ、そうかな?」
ちょっと照れてしまう。
「うん。……あ、そうだ。ちょっとこっち来て」
呼ばれてリビングに行くと、小さな花束を差し出された。
ピンクを中心にした、可愛らしい花たち。
やわらかな色合いが、春の終わりの光によく似合っている。
「はい、これ」
「え?」
「来る時に通りかかった花屋さんで見つけてね。なんだか、りあちゃん思い出して」
思いがけない贈り物に、胸がじんわり温かくなる。
「ありがとう」
花束を大事に受け取ると、昌枝さんが嬉しそうに笑った。
「よかった、喜んでくれて」
「うん! ……あ、そうだ。昌枝さん、私のお土産食べてくれた?」
シンガポールから戻る時、桐生家のみんなと昌枝さんにチョコレートを買ってきていた。
リビングのテーブルに置いたままだったはずだ。
テーブルに駆け寄り、箱を開ける。
「……あー!」
中はきれいに空っぽだった。
……絶対、颯太だ。
後ろから昌枝さんがひょいと覗き込んで、豪快に笑う。
「いいのいいの。りあちゃんと会えただけで嬉しいんだから」
「でも……」
空箱を見つめながら、私はため息をつく。
マーライオンのチョコなんてベタすぎる、って文句言ってたくせに。
「それより、お昼ご飯もうすぐできるから待っててね。りあちゃんの好きなハンバーグにしたから」
その言葉に、顔が明るくなる。
「うん!」
昌枝さんがキッチンへ戻っていく。
私は花束を抱えたまま、その場でふと足を止めた。
……そうだ。
俊兄に鍵、返さなきゃ。