冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
そう言うと、圭太がほんの少しだけ笑った。

本当に少しだけ。

でも今の私には、それだけで十分なくらい嬉しい。

 ベンチの前で立ち止まった時、私はふと圭太を見上げた。

「……今日は、何かあるんですか?」

さっきから、どこか空気が違う。

圭太さんはいつも落ち着いているけれど、今夜はその静けさの奥に、もっと深い何かを抱えているように見えた。

圭太さんはすぐには答えなかった。

イルミネーションの光を受けた横顔は穏やかで、でも少しだけ緊張しているようにも見える。

「この時を待っていた」

やがて、低く静かな声が落ちてきた。

「……え?」

「ずっとだ」

私は息を呑んだ。

圭太さんはまっすぐ前を見たまま、言葉を続ける。

「おまえに気持ちを伝えるなら、中途半端な場所じゃ嫌だった」

「圭太さん……」
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