冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「でも、圭太さんって、こういうことをさらっとする人には見えなかったので」

「そうか」

「そうです。もっと……必要最低限、みたいな感じかと」

「おまえの中の俺は、相当ひどいな」

「冷徹社長でしたから」

「今は違う?」

 その問いに、私は足元の光を見つめながら小さく頷く。

「……全然違います」

「ならいい」

短い返事。

でも、その声は仕事中の冷たさとはまるで違っていた。

並木道を抜けた先に、小さな広場があった。

中心に噴水があって、周囲の木々もすべて光に包まれている。

カップルや家族連れがゆっくり歩いていて、誰もがこの夜を大事そうに抱えているみたいだった。

「寒くないか」

「大丈夫です」

「手、冷たいな」

「圭太さんがあたたかいんです」
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