冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「ああ」

「ずっと好きでした。ずっと近くにいたのに、いちばん遠かった」

「悪かった」

「でも今は」

私は涙が滲みそうになるのをこらえながら、笑った。

「いちばん近いです」

その答えに、圭太さんの表情がやわらぐ。

そして次の瞬間、圭太はコートの内ポケットに手を入れた。

小さな箱が取り出される。

それが何か理解した瞬間、私は本当に息をするのも忘れた。

「……圭太さん」

圭太さんはその箱を静かに開く。

イルミネーションの光を受けて、そこに収まった指輪が澄んだ輝きを返した。

「由真」

低く、でも今まででいちばんやさしい声だった。

「俺と結婚してくれ」

世界が、しんと静まり返った気がした。

周りには人もいて、光も音もあるはずなのに、その一言だけがまっすぐ胸に届いて、他が全部遠くなる。

「圭太さん……」

「おまえを愛してる」
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