冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「俺はそれが嫌だった」

圭太さんの声が静かに落ちる。

「おまえの仕事も、評価も、汚したくなかった」

「……圭太さん」

初めてその名を口にした瞬間、喉が熱くなった。

圭太さんの視線がわずかに揺れる。

「もう一度」

「え……」

「名前で呼べ」

言われるまま、小さく息を吸う。

「……圭太さん」

その瞬間、圭太の表情が崩れた。

大きくではない。ほんのわずか。

けれど、今まで見たこともないほど熱を帯びた目だった。

「それだけで、今すぐここから連れ去りたくなる」

「……っ」

「由真」

名前だけで呼ばれて、胸が痛いほど締めつけられる。

「その見合い相手は、おまえを幸せにできるのかもしれない」

「はい……たぶん」

「子どもも望んでくれるんだろう」
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