冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
圭太が私の方へ身体を向ける。

ソファがわずかに沈むだけで、距離がさらに近くなる。

「他の男と結婚するなんて聞かされて、平気でいられると思うな」

「……っ」

「由真」

 名前を呼ばれ、顔を上げた瞬間だった。

頬に、熱い手が触れる。

指先がそっと輪郭をなぞるだけで、身体の奥まで震えが走る。

「泣くな」

「泣いてません……」

「泣きそうだ」

「圭太さんが、そんなこと言うからです」

「じゃあ、もっと言う」

低く囁かれて、思わず息を呑む。

「好きだ」

世界が止まった気がした。

「三年、ずっとおまえだけだった」

もう無理だった。

堪えていたものが一気に崩れて、涙が頬を伝う。

「由真」

「……ずるい」

「何度でも言ってやる」

「そんなの、忘れられなくなる」
< 43 / 108 >

この作品をシェア

pagetop