冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「どうして、そんなこと分かるんですか」

「おまえが、俺を見るたび泣きそうな顔をしていたからだ」

見抜かれていた。

その事実が恥ずかしくて、苦しくて、たまらない。

「忘れようとしました」

「忘れなくていい」

「でも、私は結婚しなきゃいけないって思って……子どもだって欲しいし、もう夢を見てる年齢じゃないって……」

声が震えてしまう。

こんなふうに弱音を吐くつもりじゃなかったのに。

すると圭太さんが低く言った。

「俺の子どもが欲しいなら、なおさら他の男に渡せない」

息が止まる。

「圭太さん……」

「穏やかな未来が欲しいなら、俺がやる」

「そんな簡単に」

「簡単じゃない。簡単じゃないから、三年も言えなかった」

その声には、抑え込んできたものの重さがあった。

「でも、もう無理だ」
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