冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
振り返るより先に、背中が壁に触れる。

「圭太さん……」

「今ならまだ引き返せる」

低く囁かれる。

でもその目は、もう少しも引き返す気なんてない色をしていた。

「由真」

名前を呼ばれる。

私は震える手で、圭太さんのジャケットを掴んだ。

「……引き返したくない」

その一言が最後の引き金になった。

圭太さんの唇が再び重なり、今度はさっきよりずっと激しく深くなる。

押し殺してきた理性が崩れる音が、本当に聞こえた気がした。

「好きなんです……」

息の合間に、私はようやく本音を零した。

「ずっと、圭太さんが好きで……忘れようとしても、無理で……」

「知ってる」

圭太さんはそう言って、私を抱き寄せた。

腕の強さに、もう逃がさないという意思がにじむ。

「俺もだ」

その声があまりに切実で、胸がいっぱいになる。
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