冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
『不満か』

『不満では……』

『ならもう少しいろ』

ソファの隣を示されて、私は困り果てる。

『社長、私、仕事が』

『俺のそばにいるのも仕事だ』

『そんな横暴あります?』

『ある』

あまりにも真顔で言われるから、反論する気力もなくなる。

二人きりの時だけ、圭太さんはまるで隠す気がない。

視線は甘く、近づけば離さないという顔をする。

肩が触れるだけで「逃げるな」と低く言い、少しでも距離を取ろうとすれば「昨日はあんなに素直だったのに」と耳元で囁く。

どうしてこんな人を、私は冷徹だと思っていたんだろう。

いや、冷徹なのは本当だ。仕事に対しては今も変わらない。

ただ、その冷たさが私の前でだけ崩れるようになった。
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