冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「気になるに決まっている」

「そんなにはっきり」

「他の男の名前をおまえの口から聞きたくない」

 低く言われて、胸が熱くなる。

「でも、まだちゃんとお断りしていなくて」

「早くしろ」

「そんな簡単に言わないでください」

「簡単じゃないのは分かっている」

 圭太がデスクの前から立ち上がり、私の近くまで来る。

「分かっていても、待ちたくない」

「圭太さん……」

「おまえが他の男と家庭を築く想像をしただけで、気が狂いそうになる」

真っ直ぐな独占欲に、息が詰まった。

こんなにも求められているのに、まだ夢みたいで信じきれない。

「私は」

「何だ」

「……嬉しいです」

小さく言うと、圭太の手がそっと頬に触れた。

「なら、もっと言ってやる」
< 56 / 108 >

この作品をシェア

pagetop