冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
「展望フロア、ですか」

「夜景がきれいなんだ。まだ明るいけど、そろそろ灯りも見えると思う」

「……はい」

エレベーターに乗り込んだ瞬間、心臓が嫌な音を立てた。

ホテル。上階。夜景。

それだけで、あの出張の夜が頭をよぎる。

閉まるドアの音。名前を呼ぶ低い声。

熱い腕に引き寄せられた瞬間。

「由真さん?」

「え?」

「顔色が悪い。大丈夫?」

「あ……はい、大丈夫です」

「無理してない?」

「してません」

自分でも分かるほど、声がかすれていた。

三浦さんは心配そうに私を見る。

「疲れてるなら、無理しなくていいよ」

「違うんです、ただ……」

ただ、思い出してしまっただけ。

このホテルの空気が、圭太さんとの夜を連れてきてしまっただけ。

展望フロアのソファに並んで座る。

窓の外には少しずつ灯り始めた街並みが見えた。
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