冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
どうしてこんな時に、圭太の声ばかり思い出すのだろう。

「由真さん?」

呼ばれて、私ははっとした。

「すみません」

「無理に今すぐ返事をくれって言ってるわけじゃないよ」

「……はい」

「でも、俺は曖昧な気持ちでは会っていない」

優しい声なのに、逃げ道をなくしていく。

三浦さんは本気だ。

だから私も、本気で返さなければいけない。

「ありがとうございます」

やっとそれだけ言うと、三浦さんは少しだけ寂しそうに笑った。

「礼を言われると距離を感じるな」

「そんなつもりじゃ」

「分かってる」

分かってくれている。

それが余計につらい。

ラウンジを出たあと、三浦さんはホテルの上階にある展望フロアへ誘ってくれた。

「少しだけ寄っていかない?」
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