冷徹社長との出張一夜は溺愛の始まりでした
この人は、自分の条件がいいから勝てると思っているわけじゃない。

ただ真剣に、私の望みを考えてくれていた。

けれど。

「ええ、俺も望んでいます」

圭太さんが低く答える。

私は思わず顔を上げた。

「……圭太さん」

社長室だというのに、名前で呼んでしまった。

でも誰もそれを咎めなかった。

「子どものいる家庭も、由真が仕事を続ける未来も、全部です」

圭太さんの声は迷いがなかった。

「由真が望むものを、恋情だけで奪うつもりはない」

三浦さんの目が細くなる。

「では、最初からそのつもりで?」

「最初からそのつもりでした。ただ」

そこで圭太さんは一瞬だけ私を見た。

「言うのが遅すぎた」

その言葉に、胸がぎゅっと締めつけられる。
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