クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした

私は何度も手紙を読み返した。

便せんの端が、少しだけ波打っている。もしかしたら、涙が落ちたのかもしれない。

凛ちゃんは後輩を助けたくて、私に頼ってくれたんだ。

胸の奥が、じんわりと熱くなる。

でも、今回は今までとちょっと違う。

壊れてしまった「絆」を、元に戻すための仕事だ。

優衣ちゃんの手紙を失った私には、わかる。たとえ形が変わっても、絶対に手放せないものがあるってこと。

……でも。ただリボンを盗み出すだけで、本当に解決するのかな──?

体育館のほうから、新体操部の掛け声が聞こえてくる。

私は、本棚の隙間から体育館のほうへ目を向けた。



翌日、木曜日の放課後。図書室で本を整理していると、翼くんがやって来た。

「ねえ、七瀬さん。この本、どこにある?」

差し出された紙に書かれていたのは……

『夜間警備・施錠管理の基礎知識』

心臓が小さく跳ねた。

……これ、先週私が借りた本だ。まさか、翼くん……私のことを試してる?
< 20 / 92 >

この作品をシェア

pagetop