クラスの透明人間は、夜を駆ける怪盗でした
文化祭当日。十月下旬の土曜日。学校は、朝から賑やかだった。
校門には、保護者や卒業生たちが次々と入ってくる。各クラスの呼び込みの声が、廊下に響く。
「二年二組のお化け屋敷、めっちゃ怖いよ!」
「メイドカフェ、美味しいスイーツあります!」
校舎中が、活気に溢れている。
私は、クラスのお化け屋敷の受付を担当していた。
「いらっしゃいませ。二年二組のお化け屋敷へようこそ」
小学生の兄弟、お母さんと一緒に来た女の子、カップル。お客さんが次々とやってくる。
しばらく対応していたときだった。
「こんにちは」
聞き覚えのある声がして顔を上げると、翼くんが立っていた。
「お化け屋敷、入りたいんだけど。お客として」
「どうぞ」
「七瀬さんの作った仕掛け、楽しみにしてる」
「そんな大したものじゃないから」
「そんなことないよ」
翼くんがお化け屋敷に入っていく。少ししてから、大きな悲鳴が聞こえてきた。
「きゃあああ!」
お客さんたちが、楽しそうに叫んでいる。
私の作った仕掛けが、みんなを楽しませている。そう思うと、胸の奥がほっこりと温かくなった。