午前零時になったら〜ピーターパンとシンデレラ〜
ご令嬢として生きている華純と、使用人だった類との出会いは三年前。類は庭師見習いとして屋敷に来た。
庭の木の手入れをしている類に、華純は一目惚れをした。そして類に話しかけたのである。
「こんにちは。これはなんと言う木なんですか?」
「これはジューンベリーと言います。春には白い花が咲いて、初夏には赤い実がついて、秋には紅葉が楽しめますよ」
類は華純に笑いかける。華純の胸が高鳴った。初めて恋を知った瞬間だった。
華純は類に積極的に話しかけた。類と話している時間が、何よりも楽しいものとなっていく。そして、気持ちを伝えた。類も気持ちに応えてくれた。
「僕でいいんですか?」
「あなたがいいんです」
華純の頰を類の大きな手が撫でる。類の顔がゆっくりと近付いていく。華純はゆっくりと目を閉じた。唇が触れる。その時だった。
「貴様!!何をしている!!」
激怒した父親が庭に現れた。そして華純が止める間もなく、類に解雇を言い渡したのである。華純は屋敷を追い出された類を想い、ただ泣くことしかできなかった。